同棲のままいつまでも結婚しないなら、それもひとつの結婚できない状態だろう。
一緒に暮らしていることには違いないが、いろんな意味で結婚と優劣がつきやすい同棲。いまどき、結婚しても旧姓のままの女性も多いし、別居婚なんてのもある。ああ……平凡で幸せなお嫁さんを目指しているあたしには今どきの結婚観が多様すぎて疲れる。さて、結婚したいなんて言うと、結婚じゃなくて同棲でいいじゃん、一緒にいられるなら同棲でじゅうぶんでしょ、どうして結婚したいの？なんて言う人がいた。
じゃあ逆に聞こう、どうして同棲できるのに結婚はしたくないんだろう。つまり…結婚できないの？
男と女、互いに人生観と結婚観が一致しているのならいいんだけど、同棲は結婚を遠ざけるなんて言う。
結婚したいのなら、同棲は避けたほうが無難かも？ だって、同棲してたら結婚の必要性は感じられないもの。もし、子供を産みたいとかの問題を考え始めたら、ようやく配偶者としての資質に照らした視点で同棲相手をとらえはじめるだろう。すると、ハッと我に返り同棲時代が終わりを告げるなんてケースも少なくないはずだ。でも、そうなったときにお互い「年をとっていたら」それは傷痕にもなろうかと…同棲と結婚が人生におよぼす問題とか‥コチコチに考えていたら友だちから聞いた話を思い出した。
――友だちの勤める会社に、短期派遣で配属されたY子がやってきた。
Y子の恋愛感覚はかなり派手。二股三股あたりまえ、時には不倫をしたり、それはもう激しい恋愛をする女子だった。あたしのような奥手女子とは住む世界が違うんだろうなあ……。
でも、そのY子がなんと結婚することになったというのだ。
なんてこった! なんでY子が結婚できるんだよ？ ぶっちゃけ、誰だってそう感じたはずなんだが……
Y子が結婚することになったいきさつについて説明しよう。
彼氏から「同棲しよう」と言われたY子。彼氏はもともと一人暮らしで、Y子は少し離れたところに住んでいたので、一緒に住んだほうが楽だろうと。
加えて、ちょうどその頃Y子の派遣契約が切れ、次の仕事を探すときだったので、だったらこっちに住んで仕事を探せばという話しになったらしい。
で、Y子は……
「なんで同棲なの？ 同棲じゃなくて結婚でいいじゃん！」
と言いました。すると彼は、「じゃあ、まずはお試し同棲ってことで、1年同棲してやってけそうだったら結婚しよう」
と答えました。
そこでY子はすぐさま反論。
「はっ？ じゃあ、そのお試し同棲で駄目だったら別れるわけ？ 別れる可能性考えて付き合ってんの？ だったら同棲なんて最初っからしないよ。結婚でいいじゃん、結婚で」
Y子は強い子だった……。
Y子のような女子だからこそ、結婚なんてものにこだわらない人生を選択するのかと思いきや、案外、同棲なんて無駄なことは否定して結婚したいとストレートに意思表示するのがスゴいと感じた。
こういう女子こそ、「結婚なんてしなくても同棲でいいじゃん」と言いそうなタイプだと思った。
そもそも、お試し同棲って失礼な話じゃないか？
若い男子だから、お試し中に肉体的に飽きてしまってお決まりのバイバイパターンとかあり得る話じゃない？ とか思ってしまう。
もちろん、逆も真なり。安易に結婚して離婚するぐらいなら、同棲して別れた方が戸籍を汚さない。ここのところは本当に答えがない、個人の人生哲学に値する問題だ。
――その後、Y子は結婚し、もう激しい恋愛をすることもなく、落ち着いて暮らしているようです。意外だ…本当に意外だ。
ちょっと頼りない系の男子に「つべこべ言わずに私と結婚すればそれでいいのよ！」って、ガツンと言える彼女だから似合う人生なんだろうなあ。
恋も結婚も自分軸で謳歌するY子の人生模様だ。