モテる男とモテない男の違いってなんだ？
よく、モテる男の条件や共通点、逆にモテない男の条件を列挙したウェブコンテンツを読み下すのだが〝あーなるほど〟と心得る記事もあればそうじゃないときもある。結局、いくつかの条件があっても最後の評価ポイントは、当人が持ち合わせた非言語キャラ、つまり、言葉では言い尽くせない独自の人間味なんじゃないかと思うのだ。あんな男のどこがいい？ なんて他の女が決めつけても、道ならぬ恋に生きる女子もいるんだから、恋愛も結婚も、男女の結びつきって不思議色したページェントのようだ。
――憎めないけれどロクデナシ度満点のモテ男がいた。
鹿児島出身で某名門高校を卒業し某国立大学に入学するも中退。その後、国家公務員ではないけれど、関連のある堅めの仕事をしている。で、モテる……。あ……そうそう、顔はイケでもブでもないB級選手である。言われてみれば、モテる男の基本的条件とはむしろこういうプロフィールか？
あたしの評価は「何故モテるわけ？このいい加減な男が！」って感じなのだが、同時に、憎めないという肯定的感情を常にセットで持たされてしまう…そんな男だ。ズバリ言うと、彼の最大の魅力はそこなんだろう。最大の嫌悪感を与えながら、それを打ち消す人間味が一対となって女子のハートに刺さる。こういう人となりにコロリといく女子は少なくないようだ。
飲みの約束をしても時間通りに来たためしがないし、待ち合わせ場所は新橋だって提案しておきながら、人を2時間待たしたあげくに突然ライン…「やっぱり五反田に来て」と、平気でやらかすモテ男である。
とはいえ、あたしの場合は迷惑行為に対してこんこんと説教するので、彼はあたしが超苦手。のクセに、飲んだ勢いでスキあらば、ギュッとかチュッを試みてくる安っぽい男子でもある。「やめてよ！」って駅の階段で酔っ払いながら争って、２人で落っこちた事もある…
さて、こういう男でありながら、どこか憎めない味があるコイツは、なぜかモテるのだ。そして、ここからのエピソードが本題である。
――ある女性に言い寄られ、ある時、
「絶対に出さないから、婚姻届に印鑑を押して！」
って言われて、押してしまった彼。まんまとハメられて婚姻届を見事に出されてしまった。相手によりけりだが、こういう〝押し〟が通用する相手なら婚活手段としては最強だ。だって、この男をなんとしても自分の旦那にしたい！ この男性と絶対結婚したい! って考えた結果、婚姻届に印鑑押させりゃいいってもんじゃない…を、押させれば勝利としちゃうんだから……。
このスゴい女とロクデナシ度満点のモテ男、結婚してもう5年以上になるのではないだろうか？ だけど、結婚していることは、会社の人間さえも知らない。知っているのは友達のP子チャンだけ。しかしP子チャンは耐えられずにあたしにしゃべってしまったので、私も知っている。でも、あたしが既婚の事実を知っていることを、彼は知らない。
例によって飲みに誘われたとき、「こんないい加減な男は『独身です』とか言いながら結婚してたりしてねー？」なんて軽くジャブを打ってみた。するとモテ男は「してない、してない！」って、目を白黒させていた。
そんなモテ男だが、彼にはずっと彼女がいた。それもラブラブ。しかも、いきさつは何であれ、結婚したんだから関係を切ることもせず、既婚者であることを放棄して…だ。そもそも、結婚相手よりも最初からこっちの彼女が好きだったんだろうな。で、その彼女も彼が結婚してるなんて夢にも思ってない。
それにしても5年もの間、夫の浮気に気づかない妻と、既婚者であることに気づかない彼女ってスゴい。というか、ここでも彼の持ち前の魅力…どこか憎めないような印象から生まれる誠実感が〝いい加減なように見えて私だけは裏切られない〟なんて幻影を生み出すんだろうか？
先日、P子チャンから聞いた話だが、モテ男が彼女の方と別れたらしい。既婚者であることがバレないうちに、一般的な恋人の別れとして別れたわけだ。結果的に、既婚者との恋愛だったと知らないで終わった恋なら、その彼女も余計な傷を負わずにすんだんじゃないかと思う。
それにしても恐ろしいほどの女力を感じるのは、絶対出さないからハンコ押して！ で、婚姻届を出してしまったモテ男のお嫁さんである。
勝手に結婚してしまう牽引力もさることながら、そんな結婚なら時間の問題で離婚？ とはならずに、不貞があっても結局、自分の元に男が帰ってくるのだから不思議だ。
婚活って、これぐらいの勢いと力強さがあってもいいのかもしれない……
これって、できちゃった婚ならぬデキ婚を言い改め、出しちゃった婚ならぬダシ婚とでも言うんだろうか……
ああ…結婚できない女にはこれぐらいの勢いが必要なんだろうか…
(;゜ロ゜)