結婚したくて婚活中だけど結婚できない私が癒やされる空間は病院だ。
病院と婚活のマイ因果関係は特段ないが、病院のソファーに小さな自分の身体を沈めていると至福の優しさと安心に包まれるようで癒やされるのだ。だからあたしは、病院が好きだ。恋愛も結婚も、どこか満たされない気持ちを抱えている女、結婚できない女には癒やしが必要なのだ……
あの匂いとか、やさしそうな看護婦さんとか、「これから何されるんだろう」という恐怖感だって…病院にはワクワクするものがたくさんある。
看護師さんは優しくて女らしいから男にはモテるだろうしつまり、結婚相手には困らない印象がする。唯一、結婚できない原因があるとしたら、仕事が忙しすぎて結婚相手と巡り会うことや恋愛そのものに時間を割くことが難しいからではない？と、勝手に推測させてもらっている。
医者だってそう…結婚相手として誰もがあこがれるお医者さん。
私はどうしても医者との結婚を望んでいるわけでもないが、やっぱり医者と結婚できるとしたら自分の人生に経済的な夢が広がるというと勘違いしすぎか…？ここで、あたしのおねーちゃんによる、結婚に関するモットーを持ち出してみよう。姉いわく･･･男は経済力らしい。でも、経済力のある男との結婚を目指すのは、人ではなく職業と結婚する思惑が先行する。職業と結婚するのなら医者がベスト、それが姉の言い分だ。結婚相手が医者であるなら、お医者さんに限定された婚活サイトに応募してチャンスをつかもうとするけなげな女心。自分の人生設計をしっかり持っている姉に、否定的な感情以上に誇らしさを感じている。
ああ…姉を見ていると〝医者と結婚したい女〟むき出しのストイックな婚活根性に敬服するほかないのだ。
一方、姉のような女は同姓からは厳しい評価を受ける場合が少なくない。
みんな、結婚は美しい恋愛過程を経てゴールしたいとあこがれているのは事実だし、そもそも婚活しなければ結婚できない女というのは少なくともコンプレックスの元凶だ。
結婚相手は金じゃない、職業じゃない、医者と結婚したいだなんて傲慢だ…
医者としか結婚したくない女なんて、プライドと偏見が強いわりに自分の人柄がよろしくない〝イヤな女〟だと周りからは思われるだろうね。にもかかわらず…あたしの姉は「男は金だ！」と豪語している。
だから、結婚するなら医者以外と結婚しないと決意している。
しかし、一口に医者と結婚すると言っても、医者には内科から外科、精神科医もいれば歯科医もいる。
姉の場合、診療科目は問わず、とにかく医者と結婚できれば人生の成功者だと思っている。たとえ、結婚時に勤務医であっても十年後に開業医となって院長夫人というステータスを獲得する人生は、姉には価値のある人生に値するようだ。
さて、あたしの結婚願望には職種限定はない。
とりあえず、周りから取り残されないように結婚したい。
姉のように断固、医者との結婚を希望します的な婚活ではない。
悪く言えば中途半端な婚活女子である。
そんなことだから…いまだに結婚に成功しない。
ところで医者と結婚したい婚活戦略の話はともかく、あたしは病院が好きだ。
かれこれ一人暮らし暦10年になる私は、暗い部屋に帰ったときの寂しさや、一人でごはんを食べる切なさとかはいいかげん慣れたが、いまだに慣れないことが一つある。風邪をひいたときだ。具合悪い身体にムチうって、ひとりお粥をつくり、ひとり「味がない」と文句をいいながら食べ、ひとり熱を測り、ひとり凹んで、冷えピタを貼って寝る。もちろん病院へ行くのもひとり。這うようにしてやっと辿り着き、先生の「どうしました？」を聞くと泣きそうになる。心配してもらえることに飢えているのだ。
でも注射は嫌いだ。先日、風邪がなかなか良くならないので、病院に行ってきた。いつもなら注射は断るのだが、今回は、現在進行中の婚活相手のお誘いのために注射を決心した。早く治さなくては…。
「ちょっとだけイタイですよぉ〜」by先生
イタくないもん。
恐くないもん。
大人なんだから大丈夫だもん。
なのに、ぷすっと刺さった瞬間出た言葉が、
「イテーな、おい！（怒）」
あたしとしたことが素に戻ってしまった。まーしかし婚活中の私としては、どこか身体の具合が悪くなって病院に行くと〝結婚できない女〟の視点で看護師やお医者さんをみてしまうのは否めないところなのである。
ああ…もしや、この一本の注射が恋の引き金となってお医者さんとの恋愛ごっこ、そしてお医者さんとの結婚！
そしてそして旦那様はお医者様というステータスをぶら下げておくる結婚生活へと導かれるはずだったかもしれないのに…ヾ(≧∇≦)
また嫁に行く日が遠のいた…やっぱりあたしは結婚できない女。