昔の彼氏に言われた言葉だ。お金って恋も愛も結婚も冷ややかにノックアウトしてしまうパワーがある気がする。
「いつ結婚するの?」って私が何度も言うもんだから、「100万円貯まったら」って言った彼氏。
試しに、去年いくら貯まったか聞いたら、1万円だとさ。じゃあ100年経ったらやっと結婚できるね。もう生きていないだろうけど…。で、あなたとはずっと結婚できないまんまだね…
私より給料が高いことを自慢してたね。でも彼氏の会社はボーナスが一切出ないから、年収でみたら私のほうが断然上だよね。どうしてお金の計算もできないの?
ボーナスが出ない会社、それもサービス残業ばっかり。ブラック企業? と彼女に思われてもしょーがないし、そんな会社は危ない、潰れる前に辞めた方がいい、って私が忠告したら、
「仕事のことに口出しするな。女は仕事に対する考えが甘いんだ」
おいおい…その3ヵ月後に、本当に会社は倒産した。すると彼氏は…
「いつかこうなるって俺はわかってたよ」
倒産する1週間前に会社を辞めた彼氏、最後まで残ってた人たちを見下したように、そう言ってたね。あたしはもっと前にわかってたよ。
そして、失業した彼氏が収入を失って1ヵ月後にあたしに放った言葉が…
「俺の今の全財産、2700円なんだ」
この言葉で、私は目が覚めた。
婚活は年収より相性だとか価値観だとか言うけれど、よーく考えよー、お金は大事だよー。
婚活の現実問題として年収をないがしろにしてはいけない。お金がなけりゃなんにも始まらないのだ。が、年齢の問題もこれまた重要だ。当たり前だけど、結婚年齢が高くなれば初産年齢も上がる。高齢出産は何歳まで? とか個人差を無視した野暮ったい質問は無視するとしても、だいたい20代で一人目を産んでおきたいのは誰だって理想とする年齢ラインじゃないだろうか?
でも、でき婚はともかくとして、結婚と出産はいちおう順序が決まっているし、結婚できないまんま年ばっかりとれば〝子供を産めるか?〟の不安も強まる。
――昔はノイローゼになるくらい結婚したかったあたしも、いつしかその気持ちは薄らぎ、心の安定を取り戻しつつあった。世の中も晩婚化が進んでいる、それに結婚したらすぐ老けるって言うし。いつまでも若くいたいからね。
そんなふうに自分になんとか言い聞かせ、仕事も調子が上がってきた頃だった。
同い年の女子友に会った。その子は24歳で結婚し、子どもはまだいない。彼女の旦那は少し年上、勤めていた会社を辞め、今度自分で会社を起こすという。彼女はその会社の手伝い。
なんていうか、私の理想。かっこいい結婚生活だよなあ……!
「来年には子どもが欲しいと思っていたんだけど、それどころじゃなくなっちゃったぁ。妊活だって年齢的にそろそろヤバイのに。彼に言ってもなかなか聞いてくれないの」
「そうだねぇ、なんとか旦那さんを説得しないとね」
っていうかあたし、結婚すらしてないんですけど……。
高齢出産がどうのこうのと妊活の悩みも深いと思うけれど、子どもどころか結婚すらしてないあたしには、この、結婚できない女の現実を突きつけられた気がした。もちろんあたしだって、結婚して赤ちゃんをだっこしたい。
ちなみに、この女子友は素直で嫌味のない女の子だから、結婚できない…もとい、結婚していないあたしをさげすむつもりではなかった。正真正銘の彼女の本音をストレートにあたしに話しただけなのだ。でも、本音だからこそ、妊活で悩む彼女と婚活でまだ悩んでいるあたしの人生の速度差が浮き彫りになった気がして余計にこたえてしまった。
結婚ってお金も必要、適齢という年齢も無視できない。グズグズしてると時間はあっと言う間に過ぎゆくのだなあ……